先日、ほしのこではみんなで元気に「しっぽ取りゲーム」をしました。
ズボンにつけたしっぽを追いかけたり、自分のしっぽを守るために逃げ回ったり、全身を思いっきり動かす楽しいゲームです。
しっぽ取りはルールのある遊びだからこそ、しっぽ取りではしっぽを取ったり、取られたりします。
この日も、自分のしっぽを取られてしまい、悔しくて涙を流してしまう子がいました。
子どもが泣いている姿を見ると心配になるかもしれませんが、実はこの「悔し涙」こそが、子どもの心が大きく育っている証拠です。
本日は少し「泣く」ということ、まさに「勝ち負けの理解」についてお話をしたいと思います。
子どもの「泣く」という行動の持つ意味は、心の成長のステップによって少しずつ変化していきます。
■ 心の成長に合わせた「泣く」の意味のステップ
ステップ①:【気持ちを大人に伝えるための発信】
言葉でうまく表現できない時期の「泣く」は、思い通りにならないことや不快感を大人に一生懸命伝えるための、大切なコミュニケーションです。
例えば、「お腹が空いた」「おむつが濡れて気持ち悪い」といった生理的な訴えがこれにあたります。
ステップ②:【言葉にならないもどかしさの表現】
「やってみたい!」「自分でやりたい!」という強い意欲(自我)が育ってくる一方で、それをまだ言葉や行動にうまく変換しきれないとき、もどかしさから涙が出ることがあります。
例えば、「自分で服を選びたいけれど、うまく伝えられない・選べない」といった葛藤の涙です。
ステップ③:【客観的なルールの理解と葛藤】(しっぽ取りでの涙)
この段階の涙は、前述のステップとは大きく異なります。「しっぽを取られたから、今のゲームは終わり」という勝ち負けのルール(客観的な事実)を正しく理解できているからこそ、悔しくて涙が出るのです。
この「勝ち負け」という認知は、①②のような「自分発信の涙」の段階を超えて、「③相手との比較」が生まれた時期となります。
■ 「比較」から生まれる、将来に向けた大切な力
「人と比べる」と聞くと、少しネガティブな印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、発達のプロセスにおいて、この「比較」は非常に重要なステップです。
比較ができるということは、「自分」だけでなく「相手(お友達)」の存在や動きを客観的に見つめられるようになったという証拠だからです。
この比較の力は、将来的に以下のような社会を生きるための大切な力へと繋がっていきます。
自己を客観的に見つめる力(メタ認知)
「お友達はできているけれど、自分はどうかな?」と自分を振り返り、自分の得意なことや苦手なことに気づくきっかけになります。
他者への共感と思いやり
自分が負けて悔しい思いを経験するからこそ、将来、同じように悔しがっているお友達の気持ちに寄り添い、「大丈夫だよ」と声をかけられる優しい心が育ちます。
目標に向かって努力する意欲
「次は勝ちたい」「あの子みたいに上手になりたい」という前向きなライバル心が、諦めずに挑戦する力や、一歩ずつ努力するエネルギーを生み出します。
■ ほしのこは、子どもの「悔しい」に寄り添います
だからこそ、日々の遊びの中でこの「悔しい」を体験することが、子どもたちにとってとても大切なのです。
最初から負けをすんなり受け入れられる子はいません。
悔しくて、涙が出たり、怒ったり、地団駄を踏んだりしながら、子どもたちは一歩ずつ「勝ち負け」を理解し、心を強くしていきます。
児童発達支援事業所「ほしのこ」では、そんな子どもたちの「悔しい」という大切な感情に、スタッフが全力で寄り添います。
「悔しかったね」「次は勝ちたいね」と、まずはその涙と溢れる気持ちを徹底的に受け止めます。
この日も、悔しがる子どもが、スタッフに思いっきり抱っこされ、気持ちをしっかりと受け止めてもらうことで、自ら「もう一回!」と再びゲームに参加する姿が見られました。
大好きな職員に抱きしめられ、安心感の中で気持ちを切り替え、再び挑戦できたという経験(成功体験)の積み重ねこそが、子どもたちの強い心(自己肯定感)を育んでいきます。
これからの日々の遊びを通じて、子どもたちのペースで確かな一歩ずつの成長を、ご家族と共に温かく見守ってまいります。
今回、ほしのこで流していた涙は、子どもが一生懸命成長のステップを登っている証拠です。いつでも私たちは、お子様のその『心の成長の生みの苦しみ』を丸ごと抱きしめ、ご家族の皆さまと一緒に、きらきら輝く未来を育んでいけたら幸いです。